サ:サニーデイ・サービス

最近「ふたりのアカボシ」でブレイクした、キンモクセイというバンドのキャッチフレーズが、「時代を後取り」には驚いたが、サニーデイ・サービス(以下SS)もデビュー当時「90年代のはっぴいえんど」という呼び方をされていたので、聞いた事はなくてもずっと気になっていた。バンドの中心人物である曽我部恵一は、70年代の「日本語のフオークとロック」の復刻CDの監修やら解説書きなど、あちこち名前が出ており、僕が10代から20代の前半頃によく聞いた音楽に対するリスペクトがある人なんだとは、わかっていた。しかし、真剣にアルバムを聞く事もなく、そのうち昨年?バンドも解散してしまい、ライブを観る機会もなくSSの事も忘れていた。

昨年の暮、僕にいろいろな音楽情報を教えてくれる友達からのメールに、SSの事が書いてあり、「 Best Sky 」という名のベスト盤が、解散後発売された事も教えてくれた。CDショップに行くと、何故か?Bコレの「 Best Flower 」と共に新古扱いで、ちょっとかわいそうな感じと値段につられ、結局2枚共買いました。「 Best Sky 」を聴いて、即「いいやんか!これ」。とくに、サウンドが多様なのにちょっと驚いた。勝手な先入観は、出会いを妨げるもので、もっと早く(少なくとも4枚目ぐらいの時点で)知っていれば、即おっかけだったのに残念です。SSは、わかりやすく言えば、ミスチルやスピッツから売れる要素だけ抜いて純化したようなバンドで、売り出し方により、シングルヒットが生まれたかどうか?は疑問だが、「 Best Sky 」の曲は、とにかく粒揃いです。とくに、4枚目「サニーデイ・サービス」のトップに入っている(「 Best Sky 」では、5曲目)「 baby blue 」は、どうだ!今立っている現実の風景ではない、何処か知らない場所に誘われる気分にさせられる。



さあ出ておいで きみのこと待ってたんだ
昼間っから夢を見てばかり 約束の時間さ

伝説では世界はそんなふうさ
それだったらぼくらは酔いどれてこれから見に行こうか

行き先違いの汽車に揺られ走る
それならそれでいいじゃないか
昼と夜の間をゆらゆら揺れる
こんなことを待ってたように思う baby blue

見張り台で監視は眠り続ける
はじめっからだれもいないようなもの 約束の時間さ

どこかでだれかとだれかが恋におちる
そんな風景を見に行こうか
昼と夜の間をゆっくりと駆ける
そんなことを待っていたように思う baby blue

Written by 曽我部恵一


「 baby blue 」では、ぼくがきみに、<どこかでだれかとだれかが恋におちる>風景を見に行こうと誘いかけるけれど、それはまるでぼくときみ(ぼくら)自身の過去や未来の風景のように思われる。現在のぼくらの風景は、リアルすぎて見たくないかのようだ。この曲は、詩だけではなくメロデイもサウンドも、此処にはないようにうつろっている。そして、ピアノソロが、「 baby blue 」への届かないおもいを奏で、3分40秒の幸福な時間が終わる。「過去とは、私たちが思い出すからこそ存在し、未来とは、私たちが期待するからこそ存在する」(アウグステイヌス)

4枚目のアルバム「サニーデイ・サービス」は、ジャケは地味だが傑作である。どの曲も、このアルバムのために生まれてきたかのようだ。どの曲も季節の最中ではなく、次に始まる季節を予感させては終わる。東京というタイトルに惹かれ、桜の美しさにジャケ買いした2枚目「東京」は、先に4枚目「サニーデイ・サービス」を聴いた耳には、デビュー前のバンドのように素直すぎる印象だ。僕には、この後5枚目「 24時 」6枚目「 MUGEN 」7枚目「 Love Alubum 」と順に聴いていく楽しみがある。遅れてきた僕にとって、SSはまだ始まったばかりなのだ。

2002年 5月 YASU    


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左り馬