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漂月記

03/10月deYASU

10月〜11月開催の「第2回・新京極映画祭」とその関連イベントで、すごく忙しい毎日。映画祭では、以前に書いたTVドラマ「東京ラブシネマ」と同じような緊急事態が、フイルムのブッキングや劇場の確保などで次々と起こり、江口洋介の気分?で開幕を迎えました。「オレは、追い込まれる程強いんだ!」の台詞が自分を励ます言葉と実感した次第です。オープニングイベント「銀幕の画帖」の動員が質・量共に予想以上で、出演者の西岡善信先生と井上理砂子記者に喜んでもらったのが、何より嬉しかったですね。忙しい最中、美松劇場で「永遠のマリアカラス」を観ました。美松劇場は中学校の団体鑑賞でも訪れた劇場ですが、残念な事に来年1月で閉館になります。「永遠のマリアカラス」は、晩年に声の衰えたオペラ歌手を映画で再起させる話ですが、マリアカラスを演じたフアニー・アルダンが存在感あります。芸の世界に生きるものの業とプライドがよく伝わって来ました。プロデューサー役の男性のアクが弱いのが残念ですが、優れた芸能界の内幕モノだと思います。フアンは「お蔵入り」の「藏出し」を望みますが、自分にとって耐えられないレベルのものが流出する芸人(アーティスト)の気持ちを考えると「お蔵入り」も仕方なしというおもいにさせられた映画でした。



10月は、濃い人を続けて見物しました。まずは、大阪フエスのジェームズ・ブラウン。僕は、以前に姫路城前の特設ステージで前半だけ観た以来ですが、JBを一度はフルに観ておこう程度の気分は彼に失礼な位、タフなショウでした。途中、サムクックの曲を歌ったのにはニヤリでしたが、アメリカの黒人音楽の歴史もJBのサウンドの中から感じられます。ピノキオに出てくるコオロギを思い出させるMCのおじさんも健在で、JBのダンスステップなどお約束のシーンの連発なのに、マントショーは何故か今回無しでした。それが、残念!

そして日本の濃い人、美輪明宏のシアタードラマシティ公演「美輪明宏音楽会<愛>」。これは、コンサートというより次々と移り変わる短編のドラマを観ているような内容で、1部は美輪さんのオリジナルを、2部はシヤンソンを美輪さんが一つ一つ丁寧に歌って行く。曲間のおしゃべりも過激で、総選挙前という事もあり、「皆さん、その内あなたの愛する人が戦場に行くような世の中になりますよ。」「戦争に行けなんて言う政治家は、自分の子供をまず戦争にやりなさい。」などとはっきりした発言を連発する。しかも、煌びやかなドレス姿の麗人が言うのだから、おかしいというよりはスゴイ!のだ。また、ここまで政治的なアピールを華やかなコンサートの場でされて、引かない観客もスゴ過ぎる。アンコール時にステージに花束を持って押し寄せる女性たちは、まるでタカラヅカフアンのような風情のおばさんやお姉さんなのに。皮肉な見方では、シャンソンを教養のように聞くフアンに、シヤンソンのダークサイドを歌う美輪さんという図式になるが、そうは単純に言えないフアンとの関係が会場の雰囲気から伺える。美輪さんの積み上げて来られた舞台での実績が、両者の信頼関係のベースにあり、揺らぐ事はないのだろう。美輪さんは、1曲ずつ曲の背景や思い出を語ってから歌い始める。すると僕は、歌の始まる前にドラマの中に身を置いている気分になる。これは、外国の曲を歌う時には有効だ。ホトケ氏やセノオちゃんが、歌詞の概要を言ってから英語のブルーズを歌うのと一緒です。今回ならば、後半の「ミロール」、メロディは知っていたが、年老いた娼婦の話とは知らなかった。<愛>する事を求めている人の切実というものが、美輪さんの舞台いっぱいを使った表現により胸に迫って来た。美しいものは、外見ではなく、人の心の中にこそある事を伝えるために、歌い語り続ける美輪さん。自分のやりたい事、やるべき事を明確にして生きる人のパワーは、観ている僕を勇気づけてくれる。「歌は、人を目覚めさせるもの」がここにも…。感謝です。

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