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漂月記

02/10月deYASU

「新京極映画祭」などで忙しくて、これから書く内容は2ヶ月前の事になってしまったけど、今も印象に残っている事があるので、それを2つ書きます。最初は、南座の「藤山寛美十三回忌追善公演」です。当代の人気女優藤山直美が主演する旧松竹新喜劇の作品2本立てという事で、南座にしては珍しく大入り満員でした。
中身も、商業演劇を期待して来たお客にとって満足度の高い舞台と拝察した次第です。私と言えば、K社のNさんより頂戴した招待券で「南地大和屋へらへら踊り」の2場・3場を観ただけなので、えらそうな事は言えませんが、わずかな時間ながら十分に楽しませていただきました。ベンガルと藤山直美のかけ合いには、松竹新喜劇の枠内で考えると違和感を覚えましたが、軽妙でありました。
3場の大和屋座敷の場で揃った高田次郎、中川雅夫、小島秀哉らの存在は、本当に懐かしく、また嬉しくもありました。高田の商工会議所会頭役は、実に堂々としていたし、30年間変わらない役柄の中川雅夫君演じる好青年然の青年実業家役には、あまりにはまっていて感激しました。出すぎない芝居の妙でしょう。松竹新喜劇では主役(この場では、藤山直美と南田洋子)以外の役者は、壁の花である事を要求されますが、この場では、それがわかっている役者の存在が舞台を引き締めました。
やはり、天外(先代)や千葉蝶が舞台に立てなくなった事より、鶴蝶・秀哉の退団が松竹新喜劇の魅力を半滅させてしまった(当時の寛美の無念な心中も)と改めて思いました。泣かせた後に笑わせ、笑わした後にまた泣かせる松竹新喜劇の伝統は、立派に藤山直美に引き継がれました。あとは、直美とからめる主の役者とその場の雰囲気を醸し出してくれる脇の役者が揃う事を願います。
もちろん天外(当代)率いる新生松竹新喜劇にも期待しています。この日の舞台も含め、商業演劇は現代劇でない方が楽しめるという事も改めて実感しました。「あ〜おもしろかった!」と劇場を出るまでは、観客は夢の中なのです。



もう一つは、中央線の荻窪にあるルースターというライブハウスで観たブルース・フアイル・ナンバー1(以下BFN1)についてです。彼等を観るのは2度目で、前回は高円寺の次郎吉で1部だけ、今回は2部の途中からと、なかなかフルタイム観れませんが…。メンバーは、フロントが3人。リードボーカル&ギターに西濱哲男、リードギター&ボーカルに内海利勝、ウイーピングハープ&いなたいボーカルにセノオちゃん(妹尾隆一郎)。リズム隊は、ベース&ボーカルに荒巻茂生、ドラムス&ボーカルに松本照夫。強力なメンツでしょ!通りに漏れ聞こえる荒巻氏が歌う「Sweet Home Chicago」。

階段を降りると店内はノリノリ状態で、まずは生ビールを1杯。西濱氏のスローバラード「Hey! Blues Man!」、ウッチャンのちょっとルーズなアレンジの「Money」などに続き、セノオちゃんのボーカルによるシカゴブルーズ、タイトなリズム隊に守られてハチャメチャに歌われるJuke Joint(酒場)にふさわしい楽しいブルーズ。
最高!セノオちゃんは、74〜75年当時私が下北沢のSくんの朝が来ない家に遊びに行った折に、マザーやゼム(Sくんは、ゼムであの正井氏と共にバイトをしていた事も)で時折見かけた。当時、関西ブルースロック勢は下北でよく飲んでいて、74年の12月にマザーで山岸潤史に拾得でのWRBBのライブ(12月30日.31日)を地図入りで紹介してもらって以来、私はブルーズにはまったのであります。
そのセノオちゃんが78年の下北沢音楽祭(場所は現本多劇場の建設予定地、アルフイー坂崎が司会)に出た時、「朝起きて、喫茶店でコーヒー飲んで、それからパチンコして、夜は飲みに行って、ここ(下北)はええとこですわ。」という話をしていた。
その時、バンドマンたる者こういう生活を送り、それでもええという女の世話になる、あ〜うらやましい人生やなと思った記憶が甦った。目の前に居るセノオちゃんは、何の反省もなく人生を送り今夜もブルーズを歌っているような気がして(もちろん、本人にはいろいろあるでしょうが…)、相変わらずの所が嬉しかったです。
キャロルのメンバーだったウッチャンも、ちょっと薄くなった部分?もあるけど、カッコイイままおじさんになり、ブルーズのプレイを楽しんでいる。フレーズも個性的です。
私がドラマーでいちばん好きなのが松本氏で、ウエストロードやGASの時代から演奏の度にいい気持ちにさせてくれます。ピシッていう感じ。荒巻氏はウッドベースを弾く。本来はジャズの人のようだが、今はBFN1にピタリはまっている。西濱氏は、年を取るともっとよくなるような気がする。
生ビールもおかわりで、いい気分。帰りには、BFN1のCDまで買ってしまいました。
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