漂年記2005
| 1月〜12月 de YASU |
|
|
あっと言う間の一年、また漂年記を書く事になりました。2005年の各ジャンル別ベスト1を書いていれば総括になったりして。今年は、これにて御免。 ピンク映画は、劇場では全く観れずに話題の「たまもの」も未見ですが、WoWoWで暮れにオンエアされた「淫らな唇〜痙攣〜」(2004年公開作かも)は良かったです。フリーのキャメラマンの主人公(佐々木ユメカ)が魅力的に描かれていて、ラスト彼女が公園のベンチで独り座って泣くシーンは、尺が長くどうなるのか?と心配になる程ですが、観る者をホッとさせていきなり終わります。「このシーンで見ている人は幸せな気分になってしまいます。」とのブログ評もありましたが、納得です。脚本(芳田秀明)にも恵まれた佳作で、都会で独り暮らしの女性が主人公の田尻裕司作品(君は、「ラブジュース」を観たか!)は、今後とも要チエックと思います。 TVドラマでは、毎回落語ネタで落とす「タイガー&ドラゴン」で決まり。V6岡田の台詞は、「木更津キャッツアイ」と同じクドカン流で少々うるさいのですが、これが慣れるとハマります。TOKIO長瀬は、はじめて味がある役者なんだと判りました。脇を固める阿部サダヲや春風亭昇太などが、その存在感で落語世界に連れて行ってくれるからですが、寄席のセットも含め落語に対するリスペクトを強く感じるドラマでした。 |
|
![]() |
|
|
CDは、アンサリーの「ブラン・ニューオリンズ」が、今こそ必要な音楽のような気がしましたし、何回聴いても飽きません。ニューオリンズのセカンドラインではなく、デキシーランドジャズをアンサリーが歌う。レコーディングメンバーが来日してのライブ(心斎橋クラブクアトロ)を観て納得しましたが、一児の母になって包容力の増したボーカルからは、癒しだけではなく力強さを感じます。「アフリカの月(西岡恭蔵)」「胸の振子(服部良一)」といった日本語の曲の選択も渋いです。「うたは、人を目覚めさせるものなんだ」という友部正人の言葉を、自然体で感じさせてくれるアンサリー。「ブラン・ニューオリンズ」は、どなたにもオススメしたい名盤です。あと、嬉しかったのはRCサクセションの「RHAPSODY」の完全盤(CD2枚組+DVD)の発売ですか。1980年4月の久保講堂でのライブには行けなかったのですが、これで追体験出来ます。(金子マリちゃんも出るし、チャボの前説もフルサイズだぜ!)この年の1月に「雨上がりの夜空に」のシングルが発売されてから、翌81年12月の武道館単独ライブまでの約2年間というもの、私はRC命で加速する彼等のライブを追っかけていました。(坂本龍一とのブルーズセッションもあった、81年12月渋谷東映でのオールナイトライブを観たのが自慢です。) |
|
![]() |
|
|
DVDでは、CKBの「ソウルパンチ」のおまけ?についていた「Honmoku Life Style」ですね。バイクに乗った剣さんが本牧の名所を案内するという内容ですが、その名所が剣さんにとっての名所だというのが笑える。同じくCDのおまけでもSASはマジなレコーディングの記録で、おまけとは呼びにくいですが、剣さんのはまさしくおまけ感覚で、そこが軽くてィイネ!映画のDVDでは、はからずも追悼リリースとなってしまった「東映監督シリーズDVDBOX石井輝男篇」でしょう。石井監督の作品では、新東宝時代のアクションもの(「女王蜂の怒り」とか)の方が好きでしたが、「徳川女系図」を始めとする異常性愛路線を並べたこのボックスは、当時東映京撮の現場からも批評家からも排斥された歴史を持つ作品ばかりが収録されています。しかし、それは決して石井監督や岡田茂の偉大な足跡を汚すものではなく、東映京撮の歴史の1ページを飾る作品群として、永遠に記憶されるべきものでありましょう。晩年「無頼平野」以外の石井作品は、そのどれもが私には不満(残念)でありました。撮影所の大きなステージであれば、素晴らしいフアンタジーの世界が創出できた筈だと思いつつ、最後の「盲獣…」ではデジカメにも挑戦した石井監督の映画に対する情熱の前には、ひれ伏すのみであります。合掌。 音楽ライブのベスト1は、その本牧は市営公園野球場でのCKB(9月3日)と行きたいとこですが、近隣対策なのか?音が小さめで、後方で観ていた者としては、音的には不満が残りましたので落選。しかし、オープニングに登場したMOJOSの演奏を遠くに聞きながら、夕暮れの三渓園(会場に隣接した公園)の芝生に置かれたデッキチェアに座って飲んだチェリーコークの味は忘れられない想い出です。そこで、ベストシチュエーション賞を急遽新設して、本牧三渓園さんに!(笑) |
|
![]() |
|
|
音楽ライブはいろいろ行きましたが、ベストは神戸チキンジョージでの真心ブラザーズに。真心の復活は、嬉しい出来事です。何故なら、真心でしか桜井くんの歌は聴けませんから(1曲なのが残念ですが…)。今回は、YOKINGがドラムを叩いてのおなじみ「スイート・フオーク・ミュージック」でした。冷蔵庫から這い出してきた事だし、桜井くんには2006年も真心を続けると同時にソロ活動もやって欲しい。桜井くんとYOKING、そのどちらが欠けても真心のグルーヴは出ない。ロック味がYOKINGならば、桜井くんはソウルテイストなのです。今回のドラムスは、最初にMBsを観た時の人に戻っていて、この人の太鼓とうつみ女史のサポートボーカルがMBsには欠かせません。その夜は、大好きな「JUMP」でのお約束、ギターとサックスの掛け合いも聴けたし、言う事なしでした。あと衝撃的だったのは、RSRFのプレイベント(ゼップ大阪)で初めて観た気志団のステージ。そのベシャリのおもしろさですか。こちらは、演芸部門でも通用します。 |
|
![]() |
|
|
お芝居は、中村勘三郎の襲名公演の中から5月歌舞伎座での「髪結新三」です。3月の初日の口上が運良く観れたり、1月の浅草公会堂(七之助の「鏡獅子」の楽日)では偶然にも晩年?の勘九郎とご挨拶が出来たりして、中村屋贔屓としては嬉しい一年でした。さて「髪結新三」ですが、江戸前のお芝居を崩さずに演じて風格を感じました。染五郎も活きが良く、中村屋とのコンビが軽妙で爽やかな後味のお芝居となりました。期待していた「熱海殺人事件(新バージョン)」や「黒蜥蜴」は今イチでしたが、3月松竹座での直美・ジュリー共演の「夫婦善哉」に出て来た蝶子の父親役(長屋の天ぷら屋)の小島秀哉には、たたずまいに商業演劇の奥行きを感じて、リッチな気分になりました。芝居は、脇が大事ですね。 |
|
![]() |
|
|
演芸は、私が仕切った「桂都丸色々の会」のゲストに来ていただいた姉様キングス(以下姉キン)の初体験に尽きます。姉キンは、桂あやめと林家染雀という落語家のユニットで、芸者姿で三味線とバラライカ(ロシアの楽器)を弾く音曲漫才です。最近、余芸が本芸になりつつある恐ろしい男女?コンビ。予備知識が無かった会場のお客さん方にも大受けで、主催者として「当たった!」という喜びを味わせていただきました。基本的には、古い音曲漫才のパロディなのですが、姉キンのネタは今風で、例えば都々逸では、「仮面夫婦は、流行(はやり)の風邪よ」と染雀が三味線を爪弾きながらええ声で語り、「熱が冷めても咳(籍)抜けぬ」で落とします。2006年は、東京(高田笑学校)方面でブレイクしそうです。 |
|
![]() |
|
|
最後は、本と参りましょう。2005年はナイアガラ30周年という事で、シュガーベイブ「SONGS」の30周年記念盤も発売されましたが、新作が出ないのに特集が組まれる希有な音楽家大瀧詠一のムック本が河出書房新社から発売されました。その中に、ナイアガラレーベル30周年によせてというエッセイが書き(聞き)下ろしされておりましたが、そのメンツが、熱き心の小林旭、冷麺で恋は高田文夫先生、CKBネタで安田謙一、私の最も信頼するコンピ名人橋本徹、大瀧師の弟子だったとは!湯浅学と私にはお馴染みの面々。しかし、一人知らない名前が…。それが、角田光代という人でした。文章から30代の女性という事は判ったのですが、その文章の一節が心に残りました。。少し長いですが、引用させていただきます。「ロングバケーションというアルバムは、クラスメイトの女の子がテープに録音してくれた。(中略)その音楽の見せてくれる世界は、軽やかで、透明で、ふわふわと心地よく、それでいて、なんとなくせつなかった。恋がどんなものか知る前に、私はなんとなくせつない気分だけを知ったのだった。」最後のフレーズは、「過去とは、私たちが思い出すからこそ存在し、未来とは、私たちが期待するからこそ存在する」(アウグステイヌス)という一節を思い出すきっかけになったサニーデーサービスの「baby blue」の世界のようで、この角田光代の書いたものを読んでみたいと思うようになったのだ。(前フリが長いぞ!)そして、12の短編を収めた「Presents」(双葉社)に行き着き、角田光代が直木賞作家である事も知ったのだ。「Presents」は、女性が生涯にもらうプレゼントについての話。最初読んだ時は、ステディの選択を迫られる女性の気持ちの揺れを描いた「うに煎餅」がすごくいいなと思ったけど、読後しばらくすると、お母さんの気持ちを描いた「鍋セット」「絵」「料理」などが、じんわり効いてくる。とくに「鍋セット」で描かれる、はじめて独り暮らしを始める日の気持ちが、主人公の女の子とお母さんの双方共判る年頃になって参りました。商店街で別れたお母さんの後ろ姿を見送るシーンは、私にとっていつか見た光景のように鮮烈な印象だ。「絵」では、エキセントリックな母の愛に圧倒される。「料理」は、太宰治「家庭の幸福」で新しい電球の光に手をかざすお母さんのように、ささやかな幸福感が美しい。作品の出来は、熟年離婚に娘の結婚をからませた「ぬいぐるみ」がベストでしょうが、恐ろしくて(笑)再読出来ません。ギフト仕様の表紙(絵:松尾たいこ)も素敵な「Presents」、プレゼントにもオススメです。 |
|
![]() |
|
|
おまけは、心に残る一日という私的な部門ですが、ベスト1は心に秘め(笑)その次を書かせていただきます。やはり、11月12日の京極弥生座での「第4回・新京極映画祭」関連企画<昼の部>「桂都丸色々の会」<夜の部>「横山剣と彼の見えないオーケストラ」を実施した一日でしょう。慌ただしく次から次へといろんな決断に迫られ、まるで「アメリカの夜」に出て来る映画監督状態のまま、一日が終わったような気がします。今にして思えば、多くのお仲間の支えにより実現出来た夢のような一日でした。皆さん本当にありがとう!出演もブッキングもしていただいた都丸師匠、安田謙一さん、「公式戦中に開催されたフアン感謝デー」という安田さんの言葉に尽きる(「SOUL PUNCH」のツアー中なのに、新京極にやって来ていただいた)横山剣さん、ダブルジョイレコーズの萩野さん、そしてご来場いただいた皆様に感謝して、漂年記2005終了です。 最後まで読んでいただいた貴方、ありがとうございました。「あなたにすべての良きことが雪崩のごとく起きています。」(斎藤一人)ィイネ〜。 |
|
![]() |
|
| 前年の漂年記⇒ | |
| www.hidariuma.com 左り馬 |
|