2011年4月の記録と記憶

2011年4月の記録と記憶

2011年3月11日以降、報道で1995年の阪神淡路大震災の時を思い出し、何か京都で出来る事はないかと考えた時に、すぐ浮かんだのがチャリティーコンサートの開催でした。出演者は、知っている人を中心に声を掛けよう。会場は、誓願寺さんにお願いして本堂をお借りしよう。思いついたら即行動、誓願寺さんに話をしましたら私達も是非一緒にやりたいという反応で、コンサート前に東日本大震災で亡くなられた方の追悼法要をしていただく事が、その場で決まりました。4月9日(土)午後6時から法要、6時20分からコンサート。主催は総本山誓願寺と新京極商店街振興組合、協力に地元の立誠仏教団、制作は関広、ちらしのイラストは中川学さんとバタバタ決まり、出演者の交渉に移りました。過去、新京極のイベントに出演していただいた方々に声をかけましたが、モラトリムやうずら音楽舎などからの声かけにより初めて出会う方もいて、結局13組(当日下村さん風邪のため欠場で12組)のミュージシャンに出演いただく事になりました。3月のツアーが5月に延期になったBRIGHTも、3月末になって出演を快諾してくれました。ミュージシャンは、ノーギャラ、交通費もなし、1組の出演時間が約10分間という条件の中で、皆ベストを尽くしてくれました。当初予定の無かったアンコールも、ゴトウゆうぞうさんとドレクスキップのご好意により、ゴトウさんの十八番「思い出は月の光の向こう側」を会場にて初対面初練習でやっていただきました。当日、告知のため新京極を練り歩いてくれたちんどん通信社も加わり、ワールドワイドな音色のセッションが実現しました。楽曲の後半になると、他の出演者もステージの廻りに集まり出して、すごく盛り上がりました。出番が2番目のBRIGHTも客席に残っていてビックリ!!出演者、ボランティアスタッフ、僧侶、そして何よりご来場していただいた延べ約300名の観客の皆さんのパワーが、この夜のコンサートを素晴らしいものにしました。呼びかけた者として皆さんに感謝です。フォークルのアルバム「戦争と平和」の1曲目「芸術家、科学者、そして宗教家」の歌詞を思い出しました。今後も、震災の復興のために、いろいろな立場の人が自分のやれる事をやり続けたいものです。当日の模様の写真、およびいただいた義援金の送金報告などは、新京極商店街のホームページをご覧ください。

4月は、映画は1本も観れませんでした。落語は、襲名後初の桂塩鯛独演会(京都府立文化芸術会館)で「一人酒盛」など。音楽は、ゴトウゆうぞうSHOWマンスリーライブ(拾得)、平山三紀(上七軒歌舞練場)、安藤明子、イソフラボン(小川珈琲シンフォニア御池店)。お芝居は、京都ロマンポップの「キス×キス×キス」(アトリエ劇研)とレジェンド・オブ・企画vol.3-新入生歓迎公演「夏綴り」(京都造形芸術大学高原校舎Aスタジオ)の2つでしたが、この「夏綴り」について書きます。

「夏綴り(作:奥田菜津、演出:澤井克幸)」は、京都造形芸術大学の学生で、6月公開予定の映画「MADE IN JAPAN〜こらッ!〜」の主演女優大西礼芳ちゃんからメールでお知らせが来ました。一人芝居という試みがおもしろそうだなと出かけましたが、これが大収穫の舞台。女優が誕生する瞬間に立ち会ったような感動に包まれました。大西さんは、普段は物静かな人ですが行動の人だと、去年新京極で着ぐるみに入ってチラシを配っている姿を見て感じていましたが、舞台に立つとスイッチが入るタイプ、エキセントリックです。このお芝居の脚本を書いたのが、同志社高校演劇部の女子生徒と後で知り、二度ビックリ!!今の年齢の大西さんが演じるのに、ピッタリのホンになっています。人生を達観したような印象を受けるホンですが、何処か霧に包まれている未来と向き合う少女の姿が見え隠れもします。また、若い劇団のホンにありがちな、言いたい事がいっぱいで未整理なホンとは真逆で、実に良く構成されています。子供の頃から老女までの長い時間の流れを、1時間程にまとめてあるのですが、それぞれのエピソードが多過ぎず少な過ぎずで程が良い。主人公であるごく平凡に一生を過ごした女性と幼な友達である女流作家との交流(それは片思いかも?)とそれぞれの生きた時代が、一つの部屋と(時代と共に進化する)テレビと手紙で構成されている。夕暮れ時、まちを見下ろすと無数の灯りが見えるが、それは無名の人々の小さな煌めきでもある。そんな無名の人の心に潜む闇をほんの少し覗かせて舞台が終わるため、舞台の余韻が今も残っているのだ。大西さんは、まず滑舌が良い、眼力がある、そして人を笑わす事が出来る。本当に素晴らしい才能だ。舞台が終わって、スタジオの前で観客を見送る大西さんは、静かな人に戻っていた。

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